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お知らせ

伊賀の元伊勢巡り

2013年5月1日,6月12日,7月20日

荒木 利芳社会連携特任教授
土屋 竜太研究員


神戸神社
「森林・里山と伊賀文化の再生」の一環として、市民活動グループ「いの

ちを守る森の防潮堤応援団みえ」の方達と伊賀の神社の鎮守の森の調査を

行っています。先日は元伊勢といわれる神戸神社と都美恵神社へ行ってき

ました。本年は伊勢神宮の20年に1度の遷宮の年で大きな賑わいが予想さ

れますが、伊勢神宮が伊勢の地に置かれるまでは、祭神・天照大御神の聖

地探しが行われらたそうです。第10代崇神天皇の発意でまず、奈良県の

三輪山にある倭国笠縫邑(大神神社)に祀られた後、第11代垂仁天皇の

皇女・倭姫命が聖地を求めて三十数年に渡り奈良、滋賀、岐阜、愛知、三

重などを巡行し、その途中、伊賀にある神戸神社に4年間、都美恵神社に

2年間鎮座されたと伝えられています。



拝 殿
 神戸神社は近鉄伊賀神戸駅から車で5分くらいのところにありますが、神社の

前を流れる小川にかかった小さな石橋を渡ると左手に手水舎があります。神宮古

材で作られた神明鳥居をくぐると、右手に天之眞奈井があり、御神水が湧き出て

います。参道を左に曲がると、緑がかった屋根で平入り作りの拝殿があり、右手

に藤堂高虎が350年前に伊予今治から持ってきたと伝わる「伊予杉」の巨木がそ

びえ立っています。境内にはその他、幹囲4m、高さ20mを超すケヤキの巨木を始

め、ヒノキやスギ、アラカシなどの高木があり、拝殿の横を通ると玉垣に囲まれた

萱葺き総檜の見事な本殿の上部を見ることが出来ます。先端が水平に切断され

た千木、金色に輝く6本の鰹木と2本の棟持柱のある堀立柱、切妻、平入の神明

作りの本殿は荘厳さが感じられます。御祭神は大日孁貴命(天照大御神)を始め

として、19柱が祀られています。本殿は式年遷宮の後にその神宮古材を用いて、

20年毎に式年造替が行われており、次は2年後に予定されているそうです。

本 殿


                      
ケヤキの巨木                      天之眞奈井           

都美恵神社
 都美恵神社はJR柘植駅から徒歩で約10分のところにあり、参道には2つの石

の鳥居、参道脇には神宮遥拝所と彫られた石碑と少し小さめの神明鳥居があり

ます。急な石段を登ると平入り造りの拝殿があり、祭神として栲幡千千比賣命外

35柱が祀られています。栲幡千千比賣命は天照大神の勾玉から産み出された

天之忍穂耳命の妃となり、神武天皇の曾祖父である瓊瓊杵尊を産んだそうです

。なお、御由緒によると都美恵神社の起源は2,3世紀以前に遡り、我が国へ渡

来してきた北方民族(出雲民族)が柘植へ移住し、出雲建子命(伊勢津彦の神)

を祀ったものと言われています。

本 殿

 本殿脇の社務所の横にある約50段くらいある石段を登ると神を待避する神聖

な洞穴があり、さらに境内の背後にあるうっそうとした森には散策路が1Kmくらい

続いており、ふわふわした落ち葉を踏みしめながら、ヒノキ、シイ、タブノキ、スギ

などの高木や新たに芽吹いてきたいろいろな幼木を楽しむことができます。9月

には斎王に扮した地元の少女を中心に大勢の付き人が都美恵神社から斎宮芝(

頓宮跡:倭姫が巡行の途中滞在した所)まで練り歩く斎王群行という大きなお祭り

があるそうですので、機会があれば見物したいと思っています。

神宮遥拝所

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