近年人々のさまざまな活動により森や川や海などの自然環境が
傷ついてきています。
それに伴い山では松枯れやナラ枯れなど森の病気が増加してき
ており大きな問題となっております。今回指導して頂く矢野氏は長
年自然と向き合われて、足元の住環境から奥山の自然環境など
の改善をしてこられました。それを通して、地表と地中の水や空気
の流れの重要性に着目され、新たな自然とのつきあい方を提案さ
れています。
講演ではまず、自然の環境は表層地質や土壌から成る大地環
境、ヒトや動植物が生活する生物環境、水や空気が流れる気象
環境、そして太陽光や磁気エネルギー、引力などの宇宙環境によ
って構成されており、これらが連動しながら大きな生態系が作り上
げられていること。これら自然にコンクリートなどを打ち込むと大
地の中に血管のように張り巡らされている空気と水が通る地下の
水脈を遮断してしまい、地中は嫌気状態のグライ層へと変化し、
植物に悪影響を及ぼすこと。しかしながら、嫌気状態と化した土壌
も適切な箇所に縦穴や溝を掘ることによりかなり改善されること。
この地下の水脈の考え方は個人住宅の庭といった小さな環境か
ら更に大きな山の環境に至るまで共通しているとのことなどを実
際の体験例をもとにお話されました。
講演の後、車で30分くらいの所にある勝地へ移動し、我々が整
備している山を診断してもらいました。最初に指摘されたのが、ふ
もとに沿って近くの川から水を引くために設置されたパイプを保護
するためのコンクリの側溝が山の地中の水や空気の流れを遮断
しているため山に大きなダメージを与えているということでした。
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