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五箇篠山城跡を訪ねて


加藤 進 社会連携特任教授



 1212日(土)には多気郡多気町古江の五箇篠山城跡を訪

ねました。「ひよどり城跡」も比較的近くにあります。庁舎の

東側に川を挟んで位置します。現在は「ゆとりの丘」となり、

町民に親しまれているようです。標高137mの山の頂上にありま

す。地元の保存会のお蔭で道はずいぶんと整備されています。

写真1は記念碑と登り口です。建築時期は南北朝時代とされる

が、その後手を加えられて、北畠具教、北畠具親の時代までは

遡れそうである。「三重の中世城館」から引用した見取り図を

図2に示した。
 

写真1

図2
これを見ると、南北につながった帯状の連続した曲輪

とそれを東西に分ける堀切からできている。長さはゆ

うに100mを超えているようである。I郭が主郭でⅡ郭と

の間に虎口が存在する。勢和村史(通史編、H118

31
日)によれば、H5年の調査で、「虎口に人頭大の川

原石」が発掘されて、「一部に石塁」の存在をうかが

わせたとある。主郭の西側には薄い土塁を見出すこと

ができる。主郭は楕円形でおおよそ長径が15m、短径が

9m
である。主郭あるいはⅡ郭での眺望は北側に向かっ

て開けており、櫛田川にわたる平野を見張ることがで

きる。正面には堀坂山や白猪山も見通せる。Ⅱ郭とⅢ

郭の間を分けるのが圧巻で深さが24mもあろうかとい

う堀切で、幅は約1.5mである。Ⅲ郭は12m×17mの長方

形である。

それからさらに東の方角にⅣ郭とⅤ郭が連なっている。ただし、Ⅴ郭はうっそうとしており、見晴らしは無い。Ⅴ郭の

下は切り立った天然の断崖(?)である。さらに、素人目でもⅥ郭までは確認が可能である。また、それぞれの郭の回

りには簡単に腰曲輪も確認できる城跡である。そういった意味では迫力のある調査が簡単な城跡と言える。水の手らし

きものも存在するらしいが確認はできなかった。

 

主郭から虎口とⅡ郭を見る

Ⅱ郭とⅢ郭を分ける巨大堀切

 

さて、ここで狼煙を考えてみましょう。この城跡は位置が低いので狼煙の中継点よりは終末(受信所)点と思われます

。堀坂山との断面をみると図のとおりです。距離が910km近いので途中で中継(大明神山?)しないと確認は難しい

かもしれません。こうしてみると堀坂山は狼煙場としては重要な位置を占めているようです。

 最後は航空写真です。この写真は影がおおく城の全景の確認にはあまり参考にならないようです。



 
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