伊賀の神社・鎮守の森めぐり(その6)

2015.2.12
荒 木  利 芳 社会連携特任教授
土 屋  竜 太 研究員
紀 平  征 希 研究員

 

前回(その5)火之迦具土神、速玉男神、別雷神を祀る伊賀の神社について述べましたが、第6回目は天児屋根命(黒滝

神社
春日神社(西山)春日神社(岩倉))、手力雄命(手力神社)天押雲命(若宮神社)を祀る神社をご紹介します。

 なお、上述の青色の文字をクリックすると各神社の説明があります。

天児屋根命(あめのこやねのみこと)

 別称:
天児屋命(あめのこやねのみこと)天之子八根命(あめのこやねのみこと)

天手力男神(あまのたぢからおのかみ)

 別称:手力雄神(たぢからをのかみ)、天手力男神(あまのたぢからをのかみ)

天押雲命(あめのおしくものみこと)

 別称:天押雲根命(あめのおしくもねのみこと)、天忍熊根命(あめのおしくまねのみこと)

  アメノコヤネ命は天照大神が天岩戸に隠れたとき祝詞を唱えた神である。スサノオ命の乱暴狼藉に怒ったアマテラ

ス大神は天岩屋戸に隠れたため、世の中が真っ暗になり、様々な禍に見まわれたため、神々は大変困り果てた。そこで
八百

万の神々
が天の安河の川原に集まり、アマテラス大神を岩戸から出すために様々な儀式を行う。鶏を鳴かせたり、榊の

枝に八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)と八咫鏡
(やたのかがみ)布帛をかけ、フトダマ命が御幣として奉げ持った。

このときアメノコヤネ命が祝詞を唱えている。さらに
アメノウズメが桶の上に立ち体が露わになるほど激しく踊るのを

見た神々が一斉に笑いだしたため、不思議に思ったアマテラス大神が岩戸を少し開けて覗いたところを、タジカラオ命とい

う八百万神々の中で最も力持ちの神が無双の力で女神の手を取り外へ引き出すことに成功する。これにより、高天原にも葦

原中国にも光がもどり、もとのように明るくなった。

 アメノコヤネ命の神徳は国家安泰、学業成就、開運厄除け、諸願成就、出世、受験・入試などに、また、タヂカラヲ命は

力と技芸の神で神徳は技芸上達、五穀豊穣、スポーツ向上、開運招福、災難・厄除けなどに霊験あらたかとされている。

 アメノコヤネ命と天美津玉照比売命(あめのみつたまてるひめのみこと)の間に生まれたのがアメノオシクモ命である

。"玄松子"によると、この神は皇孫の御膳に使う水を、国土の水に天上の水を加えて奉れという神漏岐神漏美命(かむろ

きかむろみ)の委託により、 父神・天児屋根尊の命を受けて、神漏岐神漏美命の元に遣わされ、天水を天二上よりもち下

ったそうである。