忍者食の知恵は今でも生かせるか?

2015.7.12

久松 眞 伊賀研究拠点副所長





 712日(日)、三重県総合文化センター生涯学習センター主催「みえアカデミックセミナー」で一般者向けに食品科学か

らみた忍者の非常食と題して講演をしました。三重県文化会館レセプションルームの会場は満席で忍者に関する関心の高さは

古今東西、洋の東西を問わずなかなかのものです。
 

 
  忍者の知恵を現在・未来へ生かせる一つに忍者食(兵糧丸、飢渇丸、水渇丸)があると考えています。忍者食の特長は、漢

方生薬を目的に合わせて組み合わせている点です。一般に漢方薬とは、病気に合わせて複数の漢方生薬(薬草材料)を専門医

が組み合わせて作る東洋医学の薬です。忍者食の場合は、忍びの活動中に襲われるストレスや疾患の予防薬とエネルギー補給

と体力消耗軽減を組み合わせた非常食もしくは携帯食と思われます。この生薬の効用を分類すると、孤独で強い緊張が続く環

境下でリラックス・緊張感をほぐす薬効、胃痛や下痢を止める薬効、頭痛やケガ・かぶれなどの痛みやかゆみを癒やす薬効、

セキや喉の渇きを癒やす薬効などが上げられます。即効的なエネルギーの補給は砂糖で、遅効的なエネルギーの補給はもち米

で、体力の消耗は魚や貝類の乾物で、喉の渇きは梅干しのクエン酸などが使用されたと考えられます。

 厚生労働省によると生活習慣病は、「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾

患群」と定義されています。
具体的には、高血圧、糖尿病、脂質異常症などで、古くは成人病と呼ばれていた中年期以降に

発症しやすい疾患群です。実は、ストレスが要因でおこる病気はこの生活習慣病とほとんど同じです。忍者食は、万病のもと

となる病の改善のため、
大震災などで受ける肉体的・精神的負担の緩和に応用できそうな気がします。

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