伊賀の山を元気にしよう、美しくしようとの考えで勝地(かちじ)と酒解(さかげ)で実験的に里山整備の活動を
しています。木や竹を切り、竹炭をつくったりシイタケ菌を打ったりしています。一年半ほど前に打った榾木からや
っとシイタケが出てきました。秋はキノコのシーズンですのでキノコの科学的な雑学はいかがでしょうか?
においマッタケ、味シメジとよく言われます。マッタケからはほのかな香りがします。シメジは本シメジをさしま
すが、香りは弱く独特の食感があります。キノコ通にはこの食感がたまらないのだそうです。
香り成分は炭素数8の不飽和アルコールでマッタケオールと呼ばれる低分子です。キノコの食感はグルコースがβ
-1,3-結合でつながった高分子の糖鎖が関係しています。このβ-グルカンは三本鎖の構造をとることが特長で、物理
的にも化学的にも強い構造となるため、酵母、カビ、キノコの細胞壁にはこのβ-グルカン系の多糖類が使われてい
ます。脱線しますが、美肌でよく宣伝しているコラーゲンはあるタンパク質の三本鎖構造です。キノコを食べるとβ
-1,3-グルカンが腸に届くため腸管免疫システムが刺激され免疫力が高まることが知られています。
20年ほど前、がん細胞(サルコーマ180)を移植したマウスにキノコの熱水抽出物を注射したり食べさせたりして
抗腫瘍性の実験を行いました。9種類の人工栽培キノコを試験した結果、シイタケはトップグループでした。マウス
に良い成果が人にも良いとは限りませんので、動物実験結果の評価は要注意です。ヒトではこのような実験ができま
せんので、癌に効く薬理効果を謳ったサプリは市場にはありません。
干しシイタケには魚などに多いビタミンDが多くとれるほか、食物繊維も多くとれます。ビタミンDはカルシュウム
の吸収を助けて骨を強くする効果が知られていますが、最近はそれ以外の効果もあるようです。
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