阿坂城を訪れました(中世城館を訪ねてその③)

2015.10.30

加藤 進 社会連携特任教授



 10月30日(土)には白米城の伝説で有名な阿坂城跡を訪問しました。阿坂城の概要は以下の通りです(三重県教育委員会編:

三重の中性城館(1976)。

阿坂城跡は2つの城郭から成り立っています。それは北郭の椎之木城跡と南郭の白米城であります。この二つはおおむね100

m程度離れています。

                     


登山道は地元の保存会の努力で良く整理されており、40min程度で山頂に到着します。今回は浄眼寺からのオーソドックスな登

坂コースから攻めました。写真1がのぼり口です。写真2は40分後に突如出現する椎之木城(北郭)の斜面です。少し登ると2m程

度の虎口があります。右と左に削平原があります。左翼側(幅7m×奥行9m)からは 松阪市内を展望することができます。それ

が写真3です。右翼の坂を少し登ると細長い台地があります。


写真1
           
                写真2 
                       
                                        写真3
 
なかなかの眺望です。さて、右翼に続く小道を登っていきます。そうすると奥に妙なものがあります。雑草に覆われ、埋もれており

ますが窪地です。

 石垣等は全くありません。ここから狼煙をあげるとよく見える

と思います。さて、椎之木城の土塁を左に見て100mほど進むと白

米城跡です。18×22m程度の楕円形の平原の上に石碑がたってお

ります。やはり、石積などの痕跡は見当たりません。ところが、

頂上の北東部をよく見ると異常に"せり出した出っ張り"を見る

ことができます。


                      
                                      白米白の石碑


                      
昔、遠足で登った記憶がありますが、全く気づきませんでした。この先までは 20m程度か?出っ張りの先には平地がありました。

一志町史によれば霧山城→髭山→堀坂山→白米城の狼煙ルートがうかがわれます。さっそくカシミール3Dでこれをシミュレートし

てみましょう。髭山と白米城を指定します。得られた結果は「見える」との事です。断面図と結果を示しておきます。ただ距離が

10Kmちかくあります。ひょっとすると難しいかもしれません。堀坂山や黒米山を中継点に選ぶとこれは回避できます。

                                                                     異常に突き出た出っ張りの尖端

さらに白米城で狼煙をあげた場合の可視化域をカシミール3Dで計算してみましたピンクの色に塗った部分が可視化域です。

              
                     カシミール3Dによる髭山~阿坂城の断面図

 
                   

伊勢平野側ではほとんどの地点で見ることができそうです。堀坂山の近くにわずかながらピンク色の地点もあります。髭山~白米

城、黒米山~白米城ならびに堀坂山~白米城の3種類のルートが有力になってきます。もちろん北を見ると、以前に報告した八

田城や島田城あるいは豊地城などもその範囲に入ってきます。白米城での狼煙の意義は大きそうです。

堀坂山~白米城の断面図も示しておきます。
                 
                   距離が5kmとなり、ある程度の視力があれば十分確認できる距離となります。
                       
最後になりますが、阿坂小学校付近から見た白米城の遠景です。中央上にあるやや白っぽい部分が曲輪となります。椎之木城はこの

写真では分かりません。
 
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