草木染を科学する その3-たたき染めー (地域資源利活用研究会報告)

2015.11.12

久松 眞 伊賀研究拠点副所長



最もシンプルな草木染として「たたき染め」があります。生葉を布の上に置き、金づちや石でたたくだけです。植物は

、植物自身の細胞活動に関わる化学物質のほかに、外敵(植物病原菌や昆虫の侵入など)や環境特に紫外線から身を守

る目的で化学物質を生産ていします。後者の化学物質として、ブルベリーのアントシアニン、大豆のイソフラボン、そ

ばのルチン、リンゴや玉ねぎのケルセチン、お茶のカテキン等がよく知られています。葉が損傷を受けると、植物組織

に含まれていた酵素と空気中の酸素で複雑な化学反応が進みます。草木染や漢方でもこのような化学反応が利用されて

きました。お茶の若葉を少し蒸してから手もみする作業にもこのような複雑な化学反応が含まれていると思いますので

、煎茶を科学するのも面白そうです。

 緑ヶ丘中学校の学生3名が職場体験学習で伊賀研究拠点に3日間のスケジュールで来られました。その期間のうち半日

、たたき染めを体験し植物の葉に含まれる化学物質について学習しました。裏庭に生えている蓼藍や雑草の葉を採取し

、金づちで葉をコツコツとたたき、木綿の生地にその汁を染み込ませました。今蓼藍の花が満開なので花の部分も追加

して葉の部分との染まり方も比較しました。植物によって染まり方が違うこと、たたき染めでも蓼藍の葉は緑から緑と

の混ざりですが青系の色に染まることを体験しました。


           (1) 葉を採取        

(2) 金づちでたたく
   



(3) 左から、雑草の葉、蓼藍の葉と花、笹の葉 
(たたいた直後)

    
洗浄と乾燥後アイロンをかけしたあと)
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