高松藩の狼煙台を見学に

2016.1.26

加藤 進 社会連携特任教授



126日~27日にかけて表題(江戸後期)の狼煙台跡を見学しました。インターネットで香川県立ミュージアムの報

告書(古野徳久:幕末高松藩の海防施設-狼煙場群を中心にしてー)を見つけ、興味を持ちました。著者に連絡をとっ

たら快く案内を引き受けてくれました。今回は①蕪越狼煙場跡、②大串山狼煙場跡、③京上﨟峯狼煙場跡を観察しまし

た。藩が幕府に提出した計画書兼絵図の移しが残っており、かなり正確に場所も特定できたようです。まずは全体の位

置関係をみてみましょう。(写真1)

高松城を中心に東側に位置しております。絵図によれば最東端~高松城までは40kmに満たない距離です。そして、11

ある狼煙台間の距離も最長で67km程度です。

 写真1

①蕪越狼煙場跡

東かがわ市で、天然記念物ランプロファイヤ岩脈のある鹿

浦(かぶら)越崎にあります。狼煙跡の内径は2.93.0m

φで、石垣を土塁で囲ったドーナツ型です。壁の厚さは約

1m
で一番高い壁と底の距離はおおむね1mです。この写真

2の
正面あたりの石は丁寧に積まれて形跡があります。焚

口に相当する部分は現在では見当たりません。私見ですが

、この遺跡も、頻繁に使われた形跡を見つけることは困難

でした。少し離れた場所に遠見番所があったと思われる平

地があります。





写真2

 
写真3


絵図にはこの先にもう1基の狼煙台があることになってい

ますが現実には作られなかったようです。
また写真3

はこの狼煙台から見た瀬戸内海です。やや雲がかかり視界

が悪いですが広く海を監視できることがわかります。

 

②大串山狼煙場跡 (写真4)

この遺跡は、レジャー施設建設のために移設復元されたも

のです。おそらく復元は完全と思われますので非常に美し

い形で残っております。狼煙台の3.5mφ前後で①の遺跡よ

りも規模が大きいです。周囲の壁の厚さも1m程度です。明

瞭な焚口が2か所あるのが確認できました。狼煙台の底部

ですが、枯草で覆われていますが、岩盤で出来ているとの

ことでした。残念ながらこの遺跡も頻繁に使用された形跡

は認められませんでした。

 
写真4

 

③京上﨟峯狼煙場跡 (写真5)

この遺跡は遠見山(235m)の三角点近くにあります。登り口から約15minの道のりです。登り口のすぐそばに石仏を祭っ

た祠がありました。遠見山に登るとこの狼煙台が、瀬戸内を眼下に望め重要な位置であることがわかりました。規模は

大串と同じ程度です。石と土で固めた狼煙台の壁を確認できます。その厚さはやや薄く6070cm程度です。底部は石で

固めてある模様です。やはり、焚口に相当する箇所が2か所確認できました。一方は後年に石で閉じられたようです。

 
 
写真5
 
写真6

遠見山から瀬戸内海を見る (写真6)

なお、途中に火山という中世の狼煙台跡があることも教えていただきました。池田誠氏の調査に寄れば、直径約10m

人工的な窪地があり、中央にドーナツ型の土塁で囲んだ狼煙台跡のようです。

 
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