東紀州サテライト認定事業 『第3回日独パネルディスカッション』を開催しました

2018.1.19

12月23日(土) 三重大学医学部附属病院 外来棟5階ホールにて、フライブルク・カトリック応用科学大学&三重大学医学系研究科看護学専攻共催企画 第3回日独パネルディスカッションを開催しました。
当日は教員、学生、外部機関から合計37名が参加し、フライブルク・カトリック応用科学大学 教授 エルケ・ディッシュ教授、本学 宮田准教授、工学研究科 伊丹さん、附属病院 深谷師長、紀南病院 廣畑看護部長から発表、報告および情報提供がありました。
畑下専攻長.jpgPDエルケディシュ教授.jpgPD宮田准教授.jpgPD伊丹先生.jpgPD深谷氏.jpgPD廣畑氏.jpg
当日の開催スケジュールはこちらをご覧ください。

エルケ ディッシュ教授から「医療・介護での科学技術の進歩 好機とリスク:日独での比較から」について講演がありました。
講演では、ドイツにおける看護教育について、従来、小児看護、老年看護、一般看護を軸として職業訓練的に実施されてきたものの、近年、高齢化等により看護に専門性を有した高い技能が要求される現状が紹介されました。新たな教育法の制定のもとで2020年から新たな看護教育プログラムがスタートし、2025年までに連邦政府の当該部局により、その成果が評価され、新たな看護の専門性の確立に向けて過渡期にあることが説明されました。さらに課題として、医療費高騰への対応を目指した保険システムの見直しに関する現状について報告されました。
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フライブルク・カトリック応用科学大学の方々からは、12月21日(木)に紀南病院およびその周辺地域を訪問し、その時に学んだ医療の在り方や学生らの研究テーマである保健医療福祉制度やAI/ ロボティクスの医療福祉現場への導入等が発表されました。
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紀南病院看護部長 廣畑氏からは、住民の高齢化および人口減少の傾向にある紀南地域において、近年、海外からの研修生を受け入れている活動が報告され、それによって、病院組織が改めて自身の活動を振返り、挑戦すべき課題を見出す機会になっていることが説明されました。
紀南病院資料1.jpg紀南病院資料2.jpg

ディスカッションの場では、伊丹氏から示された医療現場でのAIの導入(人の運動機能のサポートにAIを導入)について質疑応答が行われました。医療や福祉の場へのAI 導入は日独はもとより世界的にもトレンドとなっており、この状況を踏まえ、利用者により良い利益をもたらすためのAI やロボット導入のあり方について意見交換されました。
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コーヒブレイクには,気さくに交流がなされました。
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パネルディスカッション後、参加者一同での写真撮影
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アンケートのコメントより
【テーマへの関心】
•どれも興味深い発表でよかった
•医工連携の取り組みが加速している世界的傾向からみて、AIをテーマとした取り組みが面白かった
•ドイツの介護や医療保険に関する内容が興味深かった

【自身の専門分野の視座への刺激】
•人口過疎地域においては重要な雇用機関のひとつとして医療や福祉が存在するという傾向がある。そうした観点から紀南地域での実態について興味を抱いた
•医療介護にロボットを導入するにあたってのメリットやリスクについて多面的に考える機会になった
•多様な視点や活動を聴く機会になり,刺激を受けた

【パネルディスカッションの機会の周知への期待】
•このようなディスカッションの機会をもっと周知してほしい

アンケートに寄せられた質問と回答の共有
Q:人口過疎地域においては重要な雇用機関のひとつとして医療や福祉が存在するという傾向がある。そうした観点からみると、紀南地域での実態はどのような傾向があるのか?
【雇用条件の改訂による採用者獲得への取り組み】
紀南地域でも看護師確保には難しさがあります。昨年から雇用条件を変更し、1.准看護師を正規職員として採用する、2.看護師募集に当たり、年齢制限を撤廃する としたところ、1の条件に関しては応募者がありました。2に関しては実質の成果には至っていません。有経験者に対しては給与や待遇、退職金の扱い等について検討を重ねる必要があると考えています。

【病院の活動の活性化による注目度を挙げる取り組み】
救急勉強会を医師会、消防と共に協力して定期的に行っています。紀南メディカルラリー(今年は3月11日開催予定です。見学可能です)や高校生対象のメディカルラリ―甲子園等が救急、災害医療研修の一環として当院で開催されます。(主催ではありませんが)
また、研修医報告会に高校生が参加する、医療職の体験会を開催する、地元高校で開催される「対話集会」に参加して医療職についてアピールする等、病院に来る機会を増やして興味を持ってもらう等の取り組みを行っています。採用試験や奨学金の面接試験では、このような会に参加して紀南病院に興味を持った、という声がきかれます。

【奨学金制度の設置による取り組み】
奨学金制度を設置し、年間3名ほど奨学金(月5万円、3年間勤務することで返却は免除)をだしています。応募者は増えてきましたが、まだ、学校への周知不足と感じています。

【採用のみではなく現在の職員の定着への取り組み】
確保と同時に「定着」させることも重要課題と思っています。

Q.ドイツの看護師育成制度が変わったのはなぜか?
患者さんのニーズが多様化し、既存のシステムではカバーできなくなってきているため、ドイツの現行の教育制度を改革することになった。
まずは、2020年より5年間新システムを導入し、検証を行い,その時点で、50%以上の看護師がvocational trainingを経て、専門分野で活躍できているかどうかを検証する予定である。50%以上がgeneralistic(基礎課程)のみを選択していた場合、システムが機能していないと判断し専門資格制度をやめる。
ドイツ看護大学課程図.jpg
以前10%程度であった学士課程の講義を受ける割合が50%以上になることを目指して試行し、2020年に評価を受ける予定である。