北勢サテライト三重大学地域拠点サテライト

お知らせ

令和4年度第3回「未来都市デザイン研究会」を開催しました

2023年1月6日(金)15時30分より、三重大学北勢サテライト研究会として、工学研究科の近藤早映准教授が幹事を務める「未来都市デザイン研究会」の令和4年度3回目を開催しました。今回は、東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻の瀬田史彦准教授をお招きし、「公共施設マネジメント(FM)の新たな前提条件」をテーマにご講演いただきました。


前半は、世界各国の人口増減の状況や日本が人口減少に関して世界的にも先を行っていることに触れながら、なぜ人口減少局面で公共施設の再編が重要なのかについて学びました。日本の都市計画制度は人口増加(都市化・経済拡大)が前提となっているため、人口減少局面の実態にマッチしていない問題について指摘があり、人口減少を「緩和」するだけでなく、「適応」するためのまちづくりが重要であると述べられました。また、富山市の目指すコンパクトシティを例に挙げ、人口密度を高めて住民一人一人の負担を軽減するコンパクトなまちづくりが紹介されました。


後半は、公共施設の再編の変遷や2020年代の新たな展開についてご説明いただきました。自治体に対するアンケート調査の結果も紹介しながら、公共施設マネジメントの推進における住民参加や合意形成の難しさが解説されました。また、三重県と全国の自治体における人口と公共施設保有量の関係について、大部分の自治体が人口減少局面においても公共施設を増やしている状況が示され、個別の自治体における状況の違いも踏まえつつ、人口動態に応じた公共施設の縮減やデジタルとリアルが融合した公共サービスの提供の必要性が語られました。


講演後には参加者が車座になり、公共施設の在り方などに関する意見交換が行われました。行政職員や企業関係者など総勢19名の参加者からは、都市部と農村地域の違いや住民との合意形成を目指す上での課題等について、それぞれの立場から様々な意見が飛び交いました。今回も三重大学で建築学を学ぶ学生の参加があり、若者も含めた合意形成や意見の集約などについて、地域のまちづくりを担う参加者と議論を交わす貴重な機会となりました。

第4回は、2023年2月27日(月)15時00分から「異常気象を読み解く」(講師:東京大学先端科学技術研究センター 隈健一シニアプログラムアドバイザー)、「海洋気象と日本周辺の気象の将来変化」(講師:三重大学大学院生物資源学研究科共生環境学専攻 西井和晃准教授)をテーマに実施予定です。

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※「未来都市デザイン研究会」とは

今年度北勢サテライトで新たに設置された研究会です。近年の目覚ましいスピードで発展する科学技術により、我々の生活が便利かつ自由になった一方で、変革する都市生活や不確実な未来に戸惑いが生じるという背景を受けて研究会が立ち上がりました。公民連携で未来の都市デザインに活用可能な研究シーズや社会的視点を持ち寄り、フラットに議論しながら、参加者全員で身近な生活や地域社会の未来を考える機会を共有します。大学の研究シーズを投げかけるだけではなく、地域の皆様の関心のある様々な研究分野から、私たちの生活に落とし込みづらいトピックスについて一緒に考えるきっかけづくりを目指します。

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