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お知らせ
「令和7年度 四日市市民大学 21世紀ゼミナール」第1回を開催しました
令和7年8月23日(土)、四日市市の「ユマニテクプラザ」の研修室において、令和7年度1回目の「四日市市民大学 21世紀ゼミナール」(四日市市からの委託事業・北勢サテライトが企画運営)を開催しました。
三重大学は、この中の1つのコースとして「21世紀ゼミナール」を提供しており、今年度で20回目となりました。令和7年度は、「生活を科学する」を統一テーマに計5回の講座を開催します。
私たちの普段の何気ない生活は、個人の感覚や過去の経験の積み重ねで評価されることが多くありますが、そこにはたくさんの見えない科学的な根拠やデータが隠されています。言葉で言い表すことの難しい身の回りの感覚や認識を、それぞれの専門分野から科学的な視点で、三重大学の教員が解説します。
1回目の講座は、「音と建築 --快適な音環境の創造--」と題して、三重大学工学研究科の寺島貴根教授が講師を務め、41名が参加されました。
建築音響学という分野を通じて、騒音と室内音響の両面から快適な音環境について学びました。最初に建築音響学の概要が紹介され、快適な音環境を建築的手法で実現する学問であることが理解できました。特に「騒音制御」と「室内音響設計」の二つの方向性が明確に示され、不要な音を除去しつつ、目的に合った心地よい音環境づくりが重要だと感じました。
第1部「騒音環境」では、騒音とは単なる大きな音ではなく、その場にそぐわない望ましくない音であり、人それぞれ感じ方に大きな個人差があることが印象的でした。実際に起きた近隣騒音による事件や環境基準など具体的な例が示され、騒音問題の複雑さと社会的影響の大きさを改めて実感しました。また、近年は住宅の遮音性能向上により外からの騒音は減った一方、室内の小さな音が目立つようになっている点に驚きました。換気扇の音や反射音が育児ストレスなど生活の質に影響するという話は、身近な課題として考えさせられました。
第2部「室内音響設定」では、音の響きが部屋の形状や材質によって大きく異なることを学びました。反射音の遅れ時間が50msを超えるとエコーとして認識されるそうです。実際に音を聞き、エコーと残響の違いを体感しました。また音楽ホールの形状や材質が、聴覚体験に大きく影響し、ホールの形状による音響特性の違いについても詳しく解説され、建築設計と音響設計の密接な関係がよく理解できました。
また、寺島研究室の研究内容として、室内の響きの主観的印象と空間の視覚情報との関係性を探る視聴覚相互作用の研究も紹介されました。
講義を通じて音環境の快適さは単に騒音の除去だけでなく、適切な響きや残響による豊かな音空間の創造が大切であると感じました。日常生活や建築設計に音の視点を積極的に取り入れることの重要性を改めて認識でき、音が私たちの生活空間や心理に及ぼす影響を科学的かつ建築的に探求する、非常に興味深い内容でした。
次回は、9月13日(土)に「おいしく食べるとは?!」(講師:三重大学教育学部 平島 円教授)を開催いたします。
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