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お知らせ
「令和7年度 四日市市民大学 21世紀ゼミナール」第5回(最終回)を開催しました
令和7年11月22日(土)、四日市市の「ユマニテクプラザ」の研修室において、令和7年度5回目の「四日市市民大学 21世紀ゼミナール」(四日市市からの委託事業・北勢サテライトが企画運営)を開催しました。
令和7年度は、「生活を科学する」を統一テーマに計5回の講座を開催しております。
私たちの普段の何気ない生活は、個人の感覚や過去の経験の積み重ねで評価されることが多くありますが、そこにはたくさんの見えない科学的な根拠やデータが隠されています。言葉で言い表すことの難しい身の回りの感覚や認識を、それぞれの専門分野から科学的な視点で、三重大学の教員が解説します。
今回最終回となる5回目の講座は、「 サンタクロースを信じることの意味 - 子ども時代の神々はなぜ必要なのか - 」と題して、三重大学教育学部 富田昌平教授が講師を務め、33名が参加されました。

本講義ではまず、西洋のファンタジー文化における架空の存在、特にサンタクロースや歯の妖精、イースターバニーなどの空想上のキャラクターについて、心理学的視点から解説がありました。
講義で印象的だったのは、こうしたファンタジーが単なる「作り話」ではなく、子どもの心に重要な働きをするという点です。サンタクロースを信じる体験は、驚きや不思議さを通じて想像力を育み、家族の絆を深める儀式として機能し、ツリーの飾り付けやプレゼント交換といった習慣は、過去を想起しながら共有することで、家族の連帯を強める「儀式的行為」になるという説明には納得しました。

また、大学生や子どもへの調査結果から、サンタを信じる年齢や信じなくなる過程には個人差があり、信じることと認知能力には直接的な関連がないことも興味深かったです。むしろ、親の関わりや家庭の雰囲気が信じる度合いに影響するとのことで、真実を知ったときの感情も一時的なショックより、ポジティブな思い出として残るケースが多いという報告は、親として安心できる内容であると感じました。
この講義を通じて、サンタクロースは「贈り物をくれる人」以上に、「信じる力」を育む存在だと感じました。実在しない存在を信じるという体験を通じて、子どもたちは世界の不思議さに触れ、豊かな想像力を育み、そしてその経験は、大人になってからも、新しい価値観や夢を受け入れる柔軟な心の土台となるのだと感じました。家族で過ごす時間の尊さや、クリスマス本来の意味を見つめ直すいい機会となりました。
今回をもって今年度の学習プログラムは終了しました。来年度も、三重大学北勢サテライトでは、総合大学の特色を活かしたプログラムを企画し、市民の皆様にご興味をもっていただきたいと考えております。是非、多くの方にご参加いただきたく、よろしくお願い申し上げます。
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