再び髭山を攻める!(忍者のろし研究)

2020.11.10

以前に北畠時代の[のろしルート]として髭山調査結果を報告した。山頂からの眺望は北側のみで白米城跡が見えるのみであった(写真1)。

         

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写真1 2017年の髭山から白米城

最近になって、花園地区住民協議会の手によって東~南方向の木が伐採されてこの方面の見晴らしが確保されたとの話を聞き、松阪山城会でのろしルートの確認をするために再調査を実施した(10月15日、写真2)。

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    写真2  実践:主ルート、 点線:副ルート  (木を伐採したので見晴らしが可能)

その結果、髭山~黒米城~堀坂山~白米城と髭山~白米城(副ルート?)の存在を確信したので報告する。

髭山(688m)からの見晴らしが悪く、そのために髭山~黒米城~堀坂山ののろしルートの存在はシミュレーションでは可能であったが、現実に確認ができていなかった。しかし伐採により北~東方面の視界が広がり、眼下に黒米城その上に堀坂山が位置することが初めて現実の映像として確認できた。髭山~白米城は約10km(のろしが肉眼でほぼ確認できる距離)であるが髭山~黒米城は2.8km、黒米城~堀坂山は3.8kmで、堀坂山~白米城は5.5kmである。髭山から直接白米城へのろしをつなぐ距離に比べると2km程度長く成るが情報伝達の精度は格段に向上すると思われ、これを副ルートとする所以である。カシミール3Dを使って計算した見晴らし写真は図1であり、黒米城、堀坂山と白米城の位置関係が現実とよく一致している。

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図1 カシミール3Dで計算

さらに花園方面(南)も伐採されて、集落を一望できる。ここには花園御所(あるいは城)があったといわれている。かの本居宣長が通過したと思われる道も一望できる。さらに、伐採によって木々の隙間から伊勢三山の一つである白猪山(820m)が確認できた。白猪山は髭山の南東方向で、距離が6.5kmである。この山の付近に御所平(ごしょびら)といわれる地名があり、伝承ではのろし場ともいわれている。今後付近に遺構が無いか調査を予定している。

次回はこの結果をうけて霧山城(北畠の本城)~髭山ののろしルートをシミュレーションした結果について述べたい。