第14回三重大学発産学官連携セミナーin伊賀(その1)

2016.2. 5

ーレジエント・カンパニー なぜあの企業は時代を超えて勝ち残ったのかー

 恒例となりました三重大学発産学官連携セミナーin伊賀を2月5日(金)午後ヒルホテル サンピア伊賀の白鳳の間で開催しました。 本セミナーは、駒田美弘三重大学学長はじめ、辻上浩司伊賀市副市長、伊藤隆三重県健康福祉部部長、中村忠明伊賀市文化都市協会理事長から開会の挨拶をいただいた後、二つのセッションの構成で行われました。セッション1は二つの講演、セッション2は四つの報告がありました。本セミナーは内容が多いので2回に分けて報告します。


駒田学長

辻上副市長

伊藤部長

中村理事長

農業経営がご専門の大原特任教授(三重大学名誉教授)の友人であるリーダーシップ・アカデミーTACL代表の ピーター・D・ピーダーセンさんは、「時代を超えて繁栄する企業-しなやかで強い企業の三つの特徴-」のタイトルで講演されました。1967年デンマーク生まれのピーターさんは高校生のときに1年間日本の宇都宮の高校に留学、さらにコペンハーゲン大学生のときに休学して来日し英会話の講師や通訳・翻訳などをされ、大学卒業後は三度目の来日をされ、その後は生活基盤を日本にし活動されています。日本でベンチャーの立ち上げや、企業・大学や経済団体・省庁などとプロジェクトやコンサルティング案件にも携わってこられました。常に新しい時代を切り開くキーワードや思想をビジネスの世界に持ち込むべく活動され、現在はビジネスや経営に関するレクチャーをたくさんこなされています。流暢な日本語で語彙も豊富なピーターさんの講演は、グローバルな視点でマネイジメントの意識改革の必要性を説かれ、日本を強くしたい親日派の印象も強く受けました。


大原先生

ピーターさん

講演後の質問風景

 しなやかで強い企業・組織の特長としての必要項目は次の3点だそうです。一つ目は、企業・組織として「拠り所」あるいは「社会としての必要性」があり、構成員や顧客たちを惹きつける魅力と信用・信頼性が高いこと(アンカリングができている:Anchoring)。二つ目は、日々変わる事業環境の変化の情報収集と変化に対する機敏な対応で変わり続ける能力の高いこと(自己変革力があること:adaptiveness)。三つ目は、環境・食料・エネルギー・健康などを含む社会の方向性と、企業・組織の活動方針が合っていること(独自のブランド力に加え社会性の追求をセットで:alignment)でした。本日の講演はこの中で最もカギとなる「自己変革力」に焦点を当て話されました。しなやかな強さを発揮できた企業とできなかった企業を比較した説明もありました。その中で、一番印象に残った例がコダックと富士フィルムでした。少し前まで90%以上のフィルム市場を制覇していたコダックは、デジタル時代への変革が遅れアナログの世界から脱却できず失速してしまいました。これに対し、富士フィルムは美しい写真を追求するために開発してきた微粉末技術を化粧品へ応用したり、デジタルカメラの画像技術を画像診断分野の医療機器事業などへ展開し現在も活躍しています。新将命(あたらし まさみ)氏の変わるためのマインドセット「現状否定、対策肯定」も話されました。いずれにしても、変革のポイントは「現在や過去」から明日を考えるのではなく、明日から現在を考える近未来のデザイン思考力の重要性を問われました。日本の近代社会は経済成長に意識が集中し、人間成長に力を入れられなかった点も指摘し、未来思考のできる若者の人材育成へ力を入れる必要性を説かれました。これに関連し木津上野商工会議所会頭は、今でも記憶力が重視される大学入試問題についての指摘もありました。吉岡伊賀研究拠点所長の閉会の挨拶でも、大学の教育・運営の変革に非常に参考となったと感想を述べられました。

 本講演会の内容は東洋経済新報社でピーターさんが出版された本に書かれています。もう少し詳しく知りたい方はこの本を閲読下さい。現在伊賀研究拠点は、忍者の知恵を現在・未来の社会に活用するため科学的なアプローチで忍者・忍術の研究をしていますが、ピーターさんが力説する「しなやかさ」は忍者の生き抜くための知恵と重ねられないかと思いました。


木津上野商工会議所会頭(左)

ピーターさん出版の本