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第2回三重県グリーンツーリズムネットワーク大会参加報告

グリーンツーリズム(GT)の活かし方と課題
第2回三重県グリーンツーリズムネットワーク大会参加報告

大原 興太郎 社会連携アドバイザー
2013年10月22~23日

 2013年10月22−23日、松阪市ルート166のネットワーク会議のメンバーを中心にして、第2回三重県グリーンツーリズムネットワーク

大会が開催されました。私は二日目のパネルディスカッションのパネラーと一日目分科会のコーディネーターの役割が当たっていたの

で、外転装具をつけたままのみっともなさはあったのですが参加させてもらってきました。(体力、テンションが落ちていて...ようやくの

まとめです)


 コーディネーターを務めた第2分科会(松阪)テーマ:「松阪の農・食・人づくり」では、三重県立みえこどもの城、うきさとむら、松阪市

森林公園、そして松阪農業公園ベルファームについて、それぞれの施設の簡単な特徴とウリの部分はどこか、どのように地域との連

携をはかってきたかなどについて話してもらいました。
 
 いくつか印象に残ったお話は、子どもの城の企画、「キッズお仕事広場」において子供たちが仕事のプロの話や実技に大きな関心を

示したこと。森林組合の自然体験イベントでは、炭に火をつけたり、ハンゴウで飯を炊くとか自給・自立の基礎を学んでいる。ベルファ

ームでも田植えや稲刈りなどの農業体験に人気がある。うきさとむらでは、多くの外の人に支えられてむらの活性化ができている、な

どでした。 どの施設も子供たちを意識しているのはうれしいことでした。

 二日目、野口智子さん(ゆとり研究所代表、NPO法人スローライフジャパン事務局長)の基調講演は「地域資源を連携で活かす"ゆ

っくり旅"」でした。1990年代から全国のいろんなまちづくりプロジェクトなどにかかわってこられた野口さんのお話は実践的で示唆に

富むものでした。田舎で仏花としてしか意識されていなかった高野槙のリースとしての使い方、摘果りんごの使い方、風の強い離島の

気象を逆手にとって魚介の風干しの文化などの提案をしてこられました。
 
 その地の人にとってありきたりになっているものが、別の人や支援からみると全く異なったものとして新しい息吹を与えられるという

話ですし、異質なものとの交流の意味を暗示させるものでした。

 またスローライフの考え方について、きちんと選択できる生き方、緩急自在、依存からの自立をキーワードとして話されていたのが印

象的でした。


 パネルディスカッションはテーマが「三重県のグリーンツーリズムネットワーク〜地域をつないで魅力アップ」。コーディネーターの青木

辰司先生(東洋大学教授)はフィールドワークを重視する「歩き屋」を自認されるだけあって、野口さん同様実践的な知識が豊富で、当

意即妙の対応で短いディスカッションタイムながら見事な司会ぶりでした。いくつかここに残っている指摘は、ネットワークR166では、魅

力つくりに「香る道」、香りのネットワークをつくってみればどうか、大人を対象としたGTにシフトしたら、大学生を引き込めるプロジェク

トを、フェアツーリズム(ツアー客と受入れ側の対等性)で自立と挑戦を、などでした。
 

 私は次のような話をさせてもらいました。時代は人口減少が続くダウンサイジングの段階に入っているので、高度成長型経済社会の

仕組みを改革することが重要。時間にに追われがちな生産・生活スタイルをどのように相対化できるか→ゆとりの時間、断舎利、物事

の自立度を高める、ちいさなつながりの輪を増やす。高齢者の働き方や活かし方を参考する→離隔して孤立させて高齢者医療費を

かけるのではなく、つながり、年配者の知恵、寝たきりの少ない高齢農業者をモデルとした健康で生きがいの持てるシニアライフスタイ

ルを提案する。


 ほとんど話す時間がなかったのですが、私が主に定年後その存在の重さを感じるようになった炭焼き名人Mさん、語り部ガイドボラン

ティアMさん、松坂牛飼い名人Tさん、地域おこしコーディネーターAさんなどの存在をもう少し知ってもらいたいなと思ったものです。地

域の魅力をどのように引き出すかについても、あるもの探しが大事であり、歴史や自然から学ぶこと、自分の目だけでなく多様な人の

目を意識することも伝えたい事です。

 もう一点今後もう少し光を当ててもいいのではないかと思う点は、公的な資金がだんだん少なくなる中で、いかに活動の経済的な担

保を確保するのかという問題です。また機会があれば論じてみたいテーマです。


 「グリーン・ツーリズム」とは、農林水産省によれば、「農山漁村地域において自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動

です。欧州では、農村に滞在しバカンスを過ごすという余暇の過ごし方が普及しています。英国ではルーラル・ツーリズム、フランスで

はツーリズム・ベール(緑の旅行)と呼ばれています。」と記されています。
 
 年休ですら消化するのが難しい日本の労働慣行からしても、西欧敵なグリーンツーリズムは日本では難しいことにかわりないですが

、そのイメージとしての「緑、自然、農林漁業、田舎の景観、田舎人、都市農村連携」といった要素を最大限生かして、この半世紀あま

りに力を失った地方(地域)の活性化を図ることは大事と思われます。
 
 だからこそ、政府もグリーン・ツーリズム促進等緊急雇用対策(新規)〜免許皆伝!グリーン・ツーリズム道場〜などでも、その政策

目標として、①都市と農山漁村の交流事業による新たな雇用創出、②グリーン・ツーリズムやや都市と農山漁村の共生・対流、農商

工連駅等をきばんとしたアグリビジネスの展開、③新鮮で安全な農産物の供給や体験・交流の場の提供を求める都市住民の期待に

対応、の三つが上げられているのだと思われます。
      
農村におけるグリーン・ツーリズムの例

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