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伊賀の神社・鎮守の森めぐり(その1)

荒木利芳 社会連携特任教授
土屋 竜太研究員
紀平 征希研究員


 

 三重県神社庁のリストによると伊賀市には59の神社が登録されている。「伊賀の自然と文化の活用を考える

会」では伊賀の文化研究の一環として昨年度から本年度にかけて、これら神社を訪問し、御祭神や御神木などの

調査を行った。

 御祭神は明治に行われた合祀により、一つの神社に数柱から数十柱が祀られていた。その中の主祭神について

みると、古事記や日本書紀に登場する神話の神で、日本の最高神である天照大御神(大日霎貴命)を主祭神とす

る神社が最も多く6社、健速須佐之男命と武甕槌神がそれぞれ4社、偉人である菅原道眞公を祀る神社が4社あ

った。続いて八重事代主命、天兒屋根命、應神天皇、仁徳天皇(大鷦鷯尊)が各3社、正勝吾勝勝速日天忍穂耳

命、木花咲夜比賣命、火之迦具土命、猿田毘古神、建御名方命が各2社、大彦命、栲幡千々比賣命、大國主命、

稚日女神、比々岐神、大村神、少毘古那命、猪田神、眞木山神、手力雄命、速玉之男神、宇迦能御魂神、天押雲

命、徳川家康、五男三女神、高倉下命、別雷神、比自岐神、呉服比賣命を祀る神社が各1社あった。これら伊賀

市の神社の主祭人の割合をみてみると、神話に登場する神々21柱(天照大神、健速須佐之男命、武甕槌神、八重

事代主命、天兒屋根命、正勝吾勝勝速日天忍穂耳命、木花咲夜比賣命、火之迦具土命、猿田毘古神、建御名方命

、栲幡千々比賣命、大國主命、稚日女神、少毘古那命、手力雄命、速玉之男神、宇迦能御魂神、天押雲命、五男

三女神、高倉下命、別雷神)が41社に祀られており、7割を占めていた。天皇を主祭人とする社としては應神天

皇と仁徳天皇がそれぞれ3社計6社に祀られていた。学問の神さまである菅原道眞公は4社に将軍徳川家康は1

社に、崇神天皇の叔父に当たる大彦命が1社、伊賀の有力者の祖神である比々岐神、大村神、猪田神、眞木山神

、比自岐神、呉服比賣命が各1社に祀られていた。なお、主祭神は掲示されている祭神の中で最初の神とした。

 今後は、これら神社の調査結果を数回にまとめてご紹介する予定である。なお、本調査には伊賀市役所の森本

氏、
民活動グループ「いのちを守る森の防潮堤応援団みえ」にご協力頂いた。また三重県上野森林公園の坂上

氏には樹木の同定をして頂いた。ここに御礼申し上げます。


< 各神社の紹介については、神社名をクリックしてください。↓↓>

第1回目は天照大神(大日霎貴命)を主祭神とする神社6社(鞆田神社日置神社神明神社鳥坂神社桶子神社神戸神社)について紹介する。

 天照大神が登場する神話の世界は想像力豊かでダイナミックな神の物語である。

太古の昔、世界は混沌としていて天地の境目も判然としなかったが、あるとき天と地が分かれ、まず最初に天之

御中主神が高天原に現れ、さらに二柱の神と共に世界創成の基を造った(造化三神)。その後二柱の神が現れ、

これら五柱の神(別天津神)が天地の基礎を造り、国造りが始まった。これらの神は姿形を現すことはなかった

が、その後神世七代と呼ばれる二組の独神と男女の性をもつ五組の神が生まれた。そのうち最後の一組が
伊邪那

岐命
(イザナギノミコト)伊耶那美命(イザナミノミコト)である。この両神はその後、大八島などの日本の国土や八

百万の神を生みだしていく。伊耶那美命は
火之迦具土命(ヒノカグツチノミコト)という火の神を産んだとき火傷で

命を落としてしまう。後に残った
イザナギは禊ぎのため川に入り身を清めた。そして左目を洗うと天照大御神

アマテラスオオミカミ)
が右を洗うと月読命(ツキヨミノミコト)が、最後に鼻を洗うと健速須佐之男命(タケハヤスサノオノ

ミコト)
が生まれた。イザナギアマテラスに天上を、ツキヨミに夜の国を、スサノオに海を治めるように命じ

た。しかしながらスサノオは乱暴狼藉を働いたため、
アマテラスは怒って天の岩屋へ入り、岩戸を閉めてしまっ

たため、世界中が闇に覆われ、悪い神々が騒ぎ出した。困り果てた神々は女神を岩屋から出すために踊ったり、

囃したり、笑ったりして注意を引き、女神が岩戸を少し開けて外の様子をうかがったとき力持ちの神が女神を外

へ引き出したため地上の世界に再び光が戻ったという天の岩戸伝説は有名である。

 アマテラスは伊勢神宮に祀られており、皇室の祖神であり、日本民族の総氏神とされている。アマテラスはあ

らゆる神徳を発揮する万能の神で、太陽神として地上のあらゆるものの生命力と生長のエネルギーをつかさどっ

ている。伊勢神宮の神霊を分祀している神社は全国に一万八千社にのぼると言われている。

 

参考書籍

1) 「三重県神社誌」 三重県神社庁  三重県神社庁

2) 「古事記と日本書紀」 坂本勝 青春出版社

3) 「日本の神様がよく分かる本」 戸部民夫 PHP文庫

4) 「神社人の歩き方」東條英利 扶桑社新書

5) 「日本の神話」瓜生中 角川ソフィア文庫

6) 「身近な森の歩き方」 上田昌昭 分英堂

7) 「葉っぱでおぼえる樹木」 濱野周泰 柏書房

8) 「照葉樹ハンドブック」 林将之 文一総合出版

 

資料・インターネット

1)「伊賀神社参拝案内図」 伊賀地区神職連絡協議会教化委員会 伊賀地区神職連絡協議会

2)神社本庁 http://www.jinjahoncho.or.jp/

3)玄松子の記憶 http://www.genbu.net/


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