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兵糧丸など忍者食を調べる


久松 眞 伊賀研究拠点副所長



 

ハイトピア伊賀3階のコミュニティー情報ホールで、三重大学伊賀連携フィールド、三重大学人文学部、上野商工

会議所が主催する「忍者・忍術学講座」が、毎月第2土曜日に開催されています。後期の本講座の第5回目(214

午前)は、三重大学伊賀研究拠点副所長で特任教授の久松眞が「忍者の食」で報告しました。

 伊賀地域では、三重大学の文系社会連携活動は伊賀連携フィールドで、理系社会連携活動は伊賀研究拠点で行って

います。今年度から両組織が連携して「忍者の知恵を活かした人にやさしい循環型社会の構築−文理融合型Ninja

究の成果を世界に発信−」のプロジェクトが始まりました。その活動の一環として本講義を担当しました。

 忍者の食として代表的な甲賀流忍法伝書老談集の兵糧丸には、モチ米、ウルチ米、蓮肉(蓮の実)、山薬(長芋)

、桂心(ニッキ)、ヨクイ仁(はと麦)、高麗人参、氷砂糖が含まれています。その他の兵糧丸や飢渇丸など合わせ

11種類の忍者の食の構成成分を調査すると、25種類の食材(蓮肉、山薬、桂心、ヨクイ仁、茯苓、高麗人参、甘草

、耳草、麦門冬、薄荷、何首鳥、麻の実、黒豆、干し鮑、干し鮭、海鼠、鶏卵、梅干し、烏梅、くず粉、蕎麦粉、糯

米、粳米、小麦粉、氷砂糖)が使われていることが分かりました。これらの多くは漢方薬で、効能を大きく分類する

と滋養強壮効果、疲労回復効果、鎮静・リラックス効果、救急医薬的効果、健康維持、エネルギー供給の6分野に分

けられます。

 忍者の主要な活動は、敵陣の兵数や士気、地形や城内の構造、備蓄食糧など外からは分かりにくい情報を忍びこん

で集めることでした。忍者の仕事をこなすためには、危険な場所で活動したあと必ず戻ってこなければ情報伝達には

なりません。強いストレス環境下で戦闘モードと冷静さの両立、ケガや皮膚病対策、下痢や体力消耗の防止、様々な

生理的・肉体的な変化に対応しなければなりません。このような観点で眺めると、上記兵糧丸にはバランスよく機能

性成分が含まれ忍びの活動をサポートしていることが確認できます。

現在のストレスが多い社会で生きるには、忍者の知恵は食の面からも役に立つような気がします。また、大災害が

おきた時の準備や対応にも役立ちそうです。

 

 

 
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