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お知らせ
草木染を科学する その1-伊賀でもっと草木染をー (地域資源利活用研究会報告)
久松 眞 伊賀研究拠点 副所長
植物から染料を抽出して布に染める一連の作業から、昔の人々の生活の知恵は現代科学でも十分説明のつく技と気づ 紅花栽培の復活に取組む市民団体「紅ばなネット(代表峠美晴)」が開催する講座で紅花染めを勉強しました。伊賀 |
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![]() 伊賀の畑で紅花の採取の様子 |
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紅色素は十二単衣や口紅など身分の高い貴族の女性が利用したのに対し、雑草のごとくたくましく生育する藍は庶民
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![]() ![]() ![]() 建物の隅で藍を栽培 茎からすぐに根が キハダの皮を剥いだところ |
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植物から抽出される天然色素には、水に溶けにくくアルカリに溶けやすい性質のものが多いです。このような化合物 は酸で中和すると沈殿性となり繊維に付着しやすくなります。草木染の多くは、このような性質を利用して行われてい ます。植物に含まれる天然色素を抽出するアルカリ性物質としては、わら灰や木灰の上澄みの灰汁(あく)が利用され てきました。植物にはカリウムやナトリウムなどのアルカリ金属が多く含まれ、灰にすると残ります。今では、灰汁を 作る作業は大変なので代用品として炭酸カリウムや炭酸ナトリウム(ソーダ灰)を使用したりします。アルカリを中和 する酸性の試薬としてはお酢や烏梅(うばい、写真左)を使います。灰でまぶした梅の実を下から熱風で燻して乾燥さ せたのが烏梅で平安時代から伝えられる技術(写真右)です。現在伊賀から西へ車で20分ほど走った奈良県月ヶ瀬に烏 梅を作っている最後の農家さんがおられます。梅やレモンなどの果実にはクエン酸が多く含まれます。一般に烏梅の代 用品として市販のクエン酸を使用します。しかし、上野高校の学生さんには本物を体験してもらうため、月ヶ瀬の辰巳 先生にお願いしわら灰と烏梅を使用した紅花染めを指導していただきました。 |
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![]() 烏梅 |
![]() 烏梅を乾燥させる窯の様子(烏梅製造パンフより) |
次回は、紅花染、藍染、キハダ染の体験を順次報告いたします。 | |
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