伊賀サテライト三重大学地域拠点サテライト

伊賀研究拠点
お知らせ

草木染を科学する その2-紅花染ー (地域資源利活用研究会報告)


久松 眞 伊賀研究拠点 副所長



 

 紅花には、水溶性のサフラーイエロー(黄色)とアルカリで溶けるカルタミン(赤色)の色素が含まれています。そ

のため、水でサフラーイエローを抜いてからアルカリ液でカルタミンを抽出し、布にカルタミンをしみこませてから酸

性液を加えて弱酸性にしカルタミンを不溶性にして染色します。伊賀で紅花栽培の普及活動をしている紅ばなネット代

表の峠さんから紅花の写真をいただきました。



                                  
                       紅花(生花)             紅花(ドライフラワー)
 

  洗液の作成と染色工程

  1) 市販紅花(500 g、田中直染料店、写真1) を細かいメッシュの角型洗濯ネット(40x50cm) に入れたあと、バケツ   

  (10 L)に水道水(5 L )を入れ手でよく揉み、黄色系に染まった水は捨てます(写真2)
この作業を4、5回繰り

    返し、サフラーイエローをできるだけ減らしてから次の操作です。

                               
                     (写真1:市販の紅花)     (写真2:水で黄色を抜く)
                                          
 

 2) 作業の前に、炭酸カリウム(50 g) を水道水500 mL に溶かしソーダ灰(アルカリ液、ほぼpH 11)を作っておき

   ます。これを写真(3)のように5L の水道水が入ったバケツに入れ、前処理した紅花が入ったネットを入れてよ

   く絞るとカルタミンが溶け出してきます。この時は薄黒い赤です。この色素が濃い状態で布をまずつけると染め

   にくい布でも上手くいく場合が多いです(写真4)

                      
          (写真3:アルカリ液で紅色素を抽出)    (写真4:濃い液に前染色)

 
  3) アルカリ液(5 L)60Lのミニバスに入れ、水道水(20 L)を加えて希釈します。次に、作業前にクエン酸ソーダ

   (洗濯用)(25 g)を水道水500 mLに溶かし食酢(25 mL)を加えた酸性液を加え、アルカリ液を弱酸性(pH 6.5)

   にします(写真5)


                               
                            (写真5:弱酸性とした洗液)


  4) 弱酸性とした洗液に前染色した布を入れると一気にピンク色に染まります(写真6)。


                
              (写真6: 前染色した生地を漬けます)  

  5) 染色後は水洗し(写真7)、洗濯機で濯いでから、陰干して、弱い熱でアイロンをかけ大きなしわを取ります。

   最後の写真はゴムバンドや紐で絞った絞り染めの一例です。



                                 
                                 (写真7:洗液をすてて水洗い)

                        
                      
        
  その他の記事についてもご覧ください<トップはこちらから

アーカイブを表示