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飯高に青田城跡等を訪ねて

加藤 進 社会連携特任教授

 4月20日(木)は、飯高の青田(おおだ)城跡に出かけました。集合したのが7:30で目的地の蓮ダムの上流部には9:30ころに到着です。そっそくカシミール3DとGPSによるtrackを見てみましょう。標高は590m近くの急峻な斜面です。よくこんなところに山城を築いたものと思います。北畠氏の最後の砦でもあります。今回は松本会長の友人が現地の案内役です。ところどころに青田城跡の案内板がありますが、案内してもらわないとなかなか攻めるのは難しい城です。このあたりの地形なのか、層状になった石が散在しています。

これを利用した山城では珍しい石積みで囲った構造です。まず縄張り図1)です。黒く太い実線が石積み部分を示しています。Aの部分がやや崩れていますが主郭1の虎口(A)です。その右側に小郭の2と3があります。その右は崖です。30mくらいさらに斜面を登ると用途が不明の石積の窪み(C)にいたります。口径が4~5mあり、烽火台の可能性もあるかもしれません。1,2,3を分けている石の道(石塁)は今なお健在です。写真をみてください。人物の身長を考えると幅が推定できると思います。現在では1,2,3は平面とは言い難く、長い年月で斜面が崩れ落ちてやや勾配を持っています。

縄張り図の4の部分は明瞭ではありませんでした。帰りはちょっと寄り道です。蓮ダムの建設に伴い青田の集落は集団移転したようです。城跡の登り口の家は現在も廃屋として残っています。この家の上の丘(Z)に天然記念物の大カシがあります。なかなかの直径です。この程度のカシは珍しいとのことでした。次は森城跡です。この城跡は道路の建設等で削られてしまい、原型をとどめていません、わずかに、切岸を確認できる程度です。少し以前までは山の神?ていどのものが山頂でまつられていたようです。ただし、見晴らしを考えると要害地であることは一目両全です。


虎口を降りる

T型石塁


奇妙な形の石積み窪み(C)

Z地点の大カシ


主郭①付近の状況

次は谷野城跡です。この城へのTrackと松本会長の縄張り図をあげておきます。三重の中世城館(補遺も含む)では縄張り図は発見できません。今年から廃校になった飯高西中学の近くで、道を挟んで川側にあります。Aが虎口です。①が主郭と思われ、良く手入れされて木が1本もありません。主郭を土塁②が取りまいています。土塁の南東部分には張り出しがあり、小規模な削平地③と堀切Bと土橋を見つけました。③の部分の下には帯曲輪が取り巻いています。この部分は見張り台かもしれません。


主郭①(正面が土塁)

土塁上部

小規模ですが、形の整った山城です。道のすぐ近くにあります。構造が分かりやすく、山城フアンなら一度は訪れたいものです。

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