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忍者研究(のろし研究)山城訪城(番外編) ~忍坊寺を訪ねて~

今回は番外編です。松阪には歴史から抜け落ちた遺跡が多くある。江戸時代末に廃寺になった「忍坊寺(にんぼうじ)」もその一つである。この遺跡は1949年6月22日に郷土誌研究家の山田勘蔵氏らが訪問、礎石の上に立つ写真がある(大河内の歴史、大河内地区自治会連合会、平成25年)。しかし、平成に同書の編集のために再度訪問するも遺構を発見できなかったとされている。そこで、山城会で調査を2021年12月16日に実施した。

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図1

 この寺(堂?)は堀坂山系の標高600mの位置にあり、三重県内でも屈指の高度に位置している。あたり一面は平たんで、忍坊平とも堀坂平ともいわれている。登頂ルートを図1に示した。なかなか急峻な道で、何処に「水の手」を求めたのか?極めて興味深い。幸い我々が訪れた時には数個の礎石が露出していた。勘蔵氏のメモを頼りに表面の落ち葉や堆積物を手作業で取り除くと礎石と礎石を取り巻く小石が現れた。写真1は礎石上に会員が立って、1949年と同じように撮ったものである。この平地の少し上にも礎石を思わせる石が散在し、お堂というよりは寺に近い存在かも知れない。

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写真1

 いずれにしても勢津(せいず)の奥にある忍坊寺の存在位置が地区の古老を通じて口伝で正確無比に伝えられてきたことは驚くべきことである。この寺にあった本尊は今は下の集落の寺院に移されたと聞いている。

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写真2

会員と比較してもらうと礎石の大きさも分かると思う。

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